二度目の恋
婚約指輪……ずっとはめていたかったけど、はめて会社に行く勇気はない
今更、いろいろ噂されたり
聞かれたりするのも嫌だ
それより、なにより……
佐野部長のことがある
顔を合わせないで、辞められるわけない
送別会の話も出てるから避けられない
無かった事に……
いい上司、いい部下で終わりたい
「田宮さーん、これなんですが…」
隣の高木さんがまた眉毛をハの字にして
私に書類を見せてくる
『高木さん、これ先週も教えたじゃないですか!?』
事務処理を完全に私に任せていた人たち、高木さんを含め数人は大変だろう
残された時間、私が出来るだけのことする
『いいですか?ここは……って、ちゃんとメモしてくださいよ?』
それも、もう少し……
寂しい気持ちもあるけど、
一輝との、これからを生きたい。