二度目の恋


葬儀が終わった日の遅く
一輝から電話がかかってきた


けど、それは
本当に短くて、聞きたいことも聞けないくらいの疲れた声だった



「とうぶん、実家に住むことになる。暫くは会えない。マンションにも戻れないから、好きに使ってくれていいから」


また連絡する


それだけ言って電話は切れた
大丈夫?すら、言えなかった


これが妻だったら
確実に違うんだろう


電話が切れるときに
微かに聞こえた声



「一輝さー…」



女の人の声だった
あの女だろうか……




マンションは好きに使っていい、
使えるわけない
あそこに一人でいたら
私は確実に……壊れてしまう


とうぶんってどのくらい?
会社も退職した私には
一輝に直接聞く以外
一輝の状況を把握する手がない


こんなことなら……と思ってしまった
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