二度目の恋



『お待たせしてすみません』


待ち合わせをしたのは近くの公園



「いや、こっちこそゴメンね」


久しぶりに会った部長は
少し痩せて見えた


「……もしかして、彼?」


私の後ろの方を見ながら言う
彼……遥輝の事だ


ちゃんと話をしたくて
離れて待ってて貰った


『部長……本気、ですか?』


そう聞くと、理解してくれたようで
うん、と返してくる


『……なら、私も本気で答えます』



本気で私の事を……って思ったら
嘘をついて断るのが嫌だった


一度、小さく深呼吸をして
部長の顔を見た



『部長……、私は一度も結婚した事はありません。部長の部下として働いた10年、恋愛なんてしてきませんでしたし、恋をしたいとも思いませんでした』


どうしてかわかります?と聞くと
んー、と考えながらも
「過去に嫌な事とかあったから?」

当たり障りのない返答が帰ってきて
少し笑ってしまった
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