二度目の恋



『あの子……』


そう言って私はチラッと遥輝を見る
佐野部長も同じように視線を移す


『……名前は田宮遥輝、もうすぐ20歳になる私の息子です』


そう言って部長の顔見れば
驚いて目が見開いていた


驚くのも、無理はない
今まで誰にも話さず生きてきたんだ

それが最近、佳奈さんや河村さんに言ったからと言って、二人がベラベラ話す人ではないはわかっていた



『私はシングルマザーとして、生きてきました。頼る人も、親戚もいませんでしたが、息子がいたから、今の私がいます。だから……』


付き合えません、と言葉を続けようとしたけど、言葉を被せてきた部長



「それが本当の理由?それが本当の理由なら、俺は諦めない。息子がいるからなに?俺にだって娘がいるよ?悪いけど、そんな理由では、諦めない。」


佐野部長の真剣な目を反らせなかった。
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