二度目の恋



「美奈ちゃんの好きなようにしたらいい」


遥輝はそう言ってくれた
今は前みたいに安定した収入が必要ってわけじゃない
遥輝も働いてるし、ある程度の収入があれば暮らしていける

けど、10年。
仕事は大変だけど、営業事務だけど楽しいしやりがいがある


離れるのは、やはり寂しいもんだ



そして、約束の時間10分前。
私は指定されたBルームの前にいる
深呼吸をし、ドアをノックした



『営業部の田宮です』



「入りなさい」



……この声は、営業部長だ
なぜ部長が?
人事部からの連絡だから
人事の人は必ずいるだろう



私はもう一度深呼吸をして
会議室のドアを開けた



一度頭を下げ、どうぞ、と営業部長に示された席へと歩く

誰がいるなんて、わからない
そのくらい異様な雰囲気だ



失礼します、そう言って腰を下ろした





< 44 / 269 >

この作品をシェア

pagetop