二度目の恋
「人事から聞いたよ、……そんなに嫌か?俺の会社?」
やっぱり……その話か。
『そういうわけじゃありません。派遣の方が何かと便利だからです』
何も嘘は言っていない
あとどれくらい遥輝と過ごせるか
わからないなら……
遥輝だって、いつから
私から離れていくだろう
「……なにかと…、あの男か?」
あの男、……遥輝のことだろう
私が何も答えないでいると
予想外な事を話し出した
「……俺が入る隙間はないのか?」
な……に?
一輝の言葉が混乱を招く
「……さっき、高梨と話してただろう?秘書室の会話は筒抜けなんだ」
そう言いながら立ち上がり、一輝は私の隣に座り直す
「どうやら、俺たちは……あの時、親父の弁護士である高梨の嘘話によって引き裂かれたんだと、さっきわかった」
嘘話?
隣でそう話す一輝の顔は
20年前の最後に会った時の顔と重なった