二度目の恋
コレ……と、渡されたのは鍵だった
そして、一輝は私から身体を離し
机に戻り、何かをメモして
それを私に渡してきた
そのメモには住所とマンション名と番号が書かれていた
「21時には帰れると思うから待っていて」
鍵は一輝のマンションの鍵
一瞬、考えてしまったけど
私は鍵を握りしめた
そして、まだ勤務中だという事に
今更ながら気がついて焦った
「あー……けど、そんな目で戻ったら怪しまれるね。うん、俺から営業課長に連絡しとく、俺に泣かされたって事にしといて大丈夫だから」
確かに泣かされたけど、
まさか自分がこれほどまでに泣くとは
思ってもみなかった
『……一輝…』
そう呼べば
一輝は恥ずかしそうに私の手を取る
「鍵、それしか持ってきてないから……美奈がいないと俺は部屋に帰れない。……いい子だから、待っててね」
そう言って、私の手の甲にキスを落とした