二度目の恋



ピンポーン……



静かな部屋に鳴り響く音
私は恐る恐る、モニターを覗いた


『あ、一輝だ』


モニターのボタンを押すと
オートロックは解除された


なんか、凄いな……
お金持ちって感じ



やっぱり住む世界が違うんだな……
そう考えてたら、またインターホンが鳴った
これは……と、玄関を開けた



玄関を開ければ
一瞬驚いた一輝、それに驚く私


なんだか新鮮で笑えてしまった



『……お、おかえりなさ、い』


「あ、…ああ、ただいま」



20年前も、こうしたっけ……
玄関に入ると、一輝は私を引き寄せ
優しく抱きしめてきた



「……ただいま」



一輝の声が……震えてるように聞こえた



『……ん、おかえり。……簡単なものだけど、ご飯作ったよ?』



そういうと、ぎゅっと強く抱きしめてくる



「…いい匂い、した。昔に……戻ったかと思った…。やっぱり、美奈がいるといいな……、安心する」



小さく、ボソボソと言う一輝
私にだけ、言うように……。
< 85 / 269 >

この作品をシェア

pagetop