二度目の恋



「……嫌なら、嫌と言え」



そう言う一輝の唇は
少しでも動けば、重なる距離



「……美奈が好きだ」



そう言って触れた唇
離れた唇……



「……泣くほど、嫌だった?」



一輝の言葉で、自分が泣いていることに気がついた


困ったように笑う一輝に
違う、そうじゃない、って伝えたい
けど、思うように言葉が出ない


ずっと。ずっと、我慢していた
会いたくて、けど二度と会えない
会えないと思っていたのに、
また……会えた



そう思ったら、ポロポロと涙が溢れ出してしまった



その姿を見た一輝はギョッとして慌てだした



「な、泣くな。なんでだ?悪かった、頼むから泣くなっ!」


初めて見る一輝の姿だった
慌てる一輝に泣きながら笑ってしまった

私が笑ったのを見て安心したのか
一輝も笑ってくれた
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