第2巻 Sicario〜哀しみに囚われた殺人鬼達〜
外は冬真っ盛りで、道行く人はかなり厚着をしていた。
手袋やマフラーを持ってきた方が、良かったかもしれない。
引っ張ってきたルルも、よく見れば厚着をしている。
「あんた、寒くないの?」
「寒くないよ。でも、流石にコートだけは目立つかな?」
「目立つと思うよ。唯でさえ背が高いんだから。」
「ちょっと待ってて、取ってくるから。」
「早くしてよ。あんたみたいに鈍感じゃないから。」
外方を向くルルの頭を撫でて、僕は再び地下へ向かった。
ルルと居た部屋を通り過ぎ、其の部屋の隣に扉を開けた。クラシック調に仕上げられた物静かな部屋だ。
扉の左側にクローゼットがあるので、其処から適当に手袋とマフラーを取った。
早く戻らないとルルに愚痴愚痴と言われるので、出来る限り早足で戻る。
途中で階段を踏み外しそうになったが、転ばずに済んだ。
ルルが待っている外に着くと、何故かルルと中等生位の女の子が話していた。
話していると言うより、女の子が勇気を出して問い詰めている感じがする。
※小等生…小学生みたいな感じ
中等生…中学生
高等生…高校生
大等生…大学生
「ルル、如何したんだい!?其れに、君は...、アンジュラだよね?」
「は!?え、あ、...はい。」
中等生の女の子、アンジュラは此処の近所に住んでいる。
偶に施設に来ては、子供達と遊んだり、何が楽しいのか解らないが、僕と話をしたり...内気で少々自分に自信が無い所があるが、子供達に対しては頑張ってお姉さんしている。
しかし、何故アンジュラがルルに問い詰めていたのだろうか。
「ルル、何があったんだい?」
「この子が勝手に突っ掛かって来たんだ。」
「もっと詳しく話してよ。」
ルルの肩を揺らすが、面倒臭そうにするだけで、中々話してくれない。
「わたしが...!!」
アンジュラが珍しく声を張り上げたので、思わず言葉を飲み込んでしまった。
「如何したんだい?アンジュラ...」
「あ、えっと...あの、...ラーベストさんとどんな関係かな?って...すいません...」
「何だ、そんな事か。ルルは何て答えたんだい?」
ルルの肩に顎をのせる。
ルルの身長は低いから、僕は屈む体制なる。もっと身長があったら良いのに...。
この体制は辛いものがある。別に僕が歳って訳では無いよ。
ルルは素っ気なく答える。
「仕事仲間。」
「間違ってはないね。
何でそんな事聞いたんだ?君にしては珍しい...。」
アンジュラは顔を赤くして黙ってしまった。
「そう言えばアンジュラ!!君、絵が好きだったろ?」
施設で僕に話してくれた事を思い出した。
度々アンジュラは恥ずかしそうに、自身が描いた絵を僕に見せてくれる。
絵の事はよく解らないが、僕は素直に上手いと思う。
“彼”、【S】程ではないけど...。
「...はい、好きです。」
アンジュラの顔は、まだほんのり赤い。
「絵画展とか行ってるって言ってたよね?
画家【S】って知ってるかい?」
「はい!私、其の人の絵がとても好きなんです!!」
「其れは良かった。“彼”の絵画がまた展示されているんだ。良かったら、一緒に如何だい?」
「良いんですか!?」
機嫌が良くなったみたいだ。
ルルは大人しく黙っている。拗ねてしまったのかな。
「ルルは其れで大丈夫?」
「ぼくは別に構わないよ。」
ルルが耳元でそっと囁く。
「子供の知り合いがいるなんて聞いてない。」
僕もルルに返す。
「だって、君に話してないんだもの。当たり前さ。」
ルルに睨まれたが、敢えて無視した。
アンジュラの手をとって先へ進む。アンジュラは身体を強ばらせたが、抵抗はしなかった。
ルルに微笑みを向ける。勿論、酷く睨まれたけど...。
「折角の可愛い顔なんだ。そんな顔は似合わないよ。
其れに早く行こうじゃないか。」
手袋やマフラーを持ってきた方が、良かったかもしれない。
引っ張ってきたルルも、よく見れば厚着をしている。
「あんた、寒くないの?」
「寒くないよ。でも、流石にコートだけは目立つかな?」
「目立つと思うよ。唯でさえ背が高いんだから。」
「ちょっと待ってて、取ってくるから。」
「早くしてよ。あんたみたいに鈍感じゃないから。」
外方を向くルルの頭を撫でて、僕は再び地下へ向かった。
ルルと居た部屋を通り過ぎ、其の部屋の隣に扉を開けた。クラシック調に仕上げられた物静かな部屋だ。
扉の左側にクローゼットがあるので、其処から適当に手袋とマフラーを取った。
早く戻らないとルルに愚痴愚痴と言われるので、出来る限り早足で戻る。
途中で階段を踏み外しそうになったが、転ばずに済んだ。
ルルが待っている外に着くと、何故かルルと中等生位の女の子が話していた。
話していると言うより、女の子が勇気を出して問い詰めている感じがする。
※小等生…小学生みたいな感じ
中等生…中学生
高等生…高校生
大等生…大学生
「ルル、如何したんだい!?其れに、君は...、アンジュラだよね?」
「は!?え、あ、...はい。」
中等生の女の子、アンジュラは此処の近所に住んでいる。
偶に施設に来ては、子供達と遊んだり、何が楽しいのか解らないが、僕と話をしたり...内気で少々自分に自信が無い所があるが、子供達に対しては頑張ってお姉さんしている。
しかし、何故アンジュラがルルに問い詰めていたのだろうか。
「ルル、何があったんだい?」
「この子が勝手に突っ掛かって来たんだ。」
「もっと詳しく話してよ。」
ルルの肩を揺らすが、面倒臭そうにするだけで、中々話してくれない。
「わたしが...!!」
アンジュラが珍しく声を張り上げたので、思わず言葉を飲み込んでしまった。
「如何したんだい?アンジュラ...」
「あ、えっと...あの、...ラーベストさんとどんな関係かな?って...すいません...」
「何だ、そんな事か。ルルは何て答えたんだい?」
ルルの肩に顎をのせる。
ルルの身長は低いから、僕は屈む体制なる。もっと身長があったら良いのに...。
この体制は辛いものがある。別に僕が歳って訳では無いよ。
ルルは素っ気なく答える。
「仕事仲間。」
「間違ってはないね。
何でそんな事聞いたんだ?君にしては珍しい...。」
アンジュラは顔を赤くして黙ってしまった。
「そう言えばアンジュラ!!君、絵が好きだったろ?」
施設で僕に話してくれた事を思い出した。
度々アンジュラは恥ずかしそうに、自身が描いた絵を僕に見せてくれる。
絵の事はよく解らないが、僕は素直に上手いと思う。
“彼”、【S】程ではないけど...。
「...はい、好きです。」
アンジュラの顔は、まだほんのり赤い。
「絵画展とか行ってるって言ってたよね?
画家【S】って知ってるかい?」
「はい!私、其の人の絵がとても好きなんです!!」
「其れは良かった。“彼”の絵画がまた展示されているんだ。良かったら、一緒に如何だい?」
「良いんですか!?」
機嫌が良くなったみたいだ。
ルルは大人しく黙っている。拗ねてしまったのかな。
「ルルは其れで大丈夫?」
「ぼくは別に構わないよ。」
ルルが耳元でそっと囁く。
「子供の知り合いがいるなんて聞いてない。」
僕もルルに返す。
「だって、君に話してないんだもの。当たり前さ。」
ルルに睨まれたが、敢えて無視した。
アンジュラの手をとって先へ進む。アンジュラは身体を強ばらせたが、抵抗はしなかった。
ルルに微笑みを向ける。勿論、酷く睨まれたけど...。
「折角の可愛い顔なんだ。そんな顔は似合わないよ。
其れに早く行こうじゃないか。」