溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜
「お前、自分に奉られる要素がなにかあるとでも思ってるのか」
と呆れたように言ったあとで、

「ああ、でも居たな」
と言う。

「俺の友達で、そんな奴。
 あいつは、お前のルックスしか目に入ってなかったと見た。

 ああいうのと結婚すると、訴えられるぞ」

「なんでよ」

「話が違うって言われるからだよ。
 そういえば、あいつ、よくうちに来たがってたが、お前の部屋が見えるからだったんだな」

「えっ、そのとき片付いてた?」

「知るか。
 っていうか、何年も経ってから気にするな」

「だって、いつの話か知らないけど、あんたそんなこと、今まで、一言だって言わなかったじゃない」
と言うと、拓海は、顔を近づけ、

「……俺が言うと思うのか?」
と言ってくる。

 なんか怖いよ、と思ったとき、後ろで誰かが笑った。

 振り向いた花音は驚く。

「課長っ」

 昌磨が少し離れた位置に立っていた。

「すまん。
 声をかけようとか思ったんだが、あまりに興味深い話をしていたので」
と言う。
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