溺愛御曹司の罠  〜これがハニートラップというやつですか?〜
 なにが確かにだ、と思いながらも、思わず、見惚れていた。

 全然隙のない感じだったのに、笑うと可愛いな。

 いや、可愛いとか年上の男の人に言ったら失礼だけど。

「芹沢は整った顔なのに、マヌケに見えるな。
 性格のせいか」

 いや、ほんとに容赦ないな、この人。

「私でも、全然役に立たないわけではありませんよ。
 ナビ入れるくらいは出来ます」
と言うと、当たり前だろ、という顔をされる。

「こう見えて、私、機械物には強いんですよ」

「聞いてる」
と昌磨は言った。

 誰に聞いたのかと思ったら、合田課長のようだった。

「誰がどんなことが得意だとか、事細かに教えてくれたぞ。
 お前たちをよろしく頼むと言われた。
 ……いい課長だな」
と言われ、

「はいっ」
と微笑む。

 ほんとにいい課長だった。
 自分は責任だけ取ると言って、伸び伸びやらせてくれた。

 合田課長が居なくなると思うと、寂しくなってくる。

 そのとき、昌磨がフロントガラスを見て、ぼそりと呟いた。

「合田課長の後任、俺にうまくやれるかな」

「ええっ。
 貴方みたいな人でも、不安になるんですか?」
と言うと、眉をひそめられる。

「当たり前だろ。
 合田課長の後が務まるのか、この若造がとか思われてそうだろ」

「あ、やっぱり若いんですね」
< 13 / 232 >

この作品をシェア

pagetop