溺愛御曹司の罠 〜これがハニートラップというやつですか?〜
手が綺麗だと、何割増しか綺麗に見えると言うけれど。
顔も綺麗な人だと、どうしたらいいんでしょうか、と思っていた。
「……何故、ずっとこっちを見ている」
「は?
ああ、すみません。
綺麗な顔だな、と思って」
言われ慣れているのか、昌磨は溜息をついただけだった。
「結構距離あるな。
ちょっと休憩するか?」
「ああでも、早く行った方がいいですよ。
支局長、本当にうるさい人なんですよ。
運転お疲れでしたら、変わりますよ」
「別に疲れてはいない。
お前が疲れたかと思っただけだ」
「あっ、私の運転に不信感を抱いてますね。
言ったじゃないですが、私、機械ものには強いんです」
「車もその範疇か」
「はい。
峠走らせたら、速いですよ。
替わりましようか?」
「違う意味で嫌だな」
新車だと言ったろう、と言われる。