溺愛御曹司の罠 〜これがハニートラップというやつですか?〜
「いやー、飛鷹課長っ。
わざわざすみませんっ」
あれっ?
支局長の部屋に通された途端、松前支局長は、昌磨を大歓待する。
今までこんな支局長は見たことない、というくらいだった。
実に和やかに話は進み、すぐに用事は済んでしまった。
「そうだ、課長。
うちの真島が課長と話したいと言ってたんですよ。
以前、開発に居たとき、課長とご一緒したことがあったとか言ってましたが」
ああ、という顔を昌磨はする。
「君、ご案内して」
と支局長は女性秘書に指示する。
昌磨が彼女について行くのに、少し遅れてついて行こうとすると、支局長に呼び止められた。
何故か、手招きしてくる。
「な、なんですか?」
とちょっと警戒しながら聞き返すと、また手招きされる。
どうも、なにか話があるような素振りだった。
もっと近づけと言うのだ。
仕方なく近づくと、支局長は顔を近づけ、小声で言う。
「芹沢くん。
君、知ってるのかね?」
「は? なにをですか?」
支局長は、辺りを窺ったあとで、更に声を落として言った。
「飛鷹課長は、社長の息子なんだよ」