溺愛御曹司の罠 〜これがハニートラップというやつですか?〜
「何杯呑んだんだ」
「二杯だよ」
二杯でか? と顔をしかめる。
「一服盛られたのか」
今、それを言うと、俺が盛ったことになるんだが……。
この兄妹、似てないようで、発想がおかしなところが似ているな、と思った。
「じゃあ、これで」
失礼します、と頭を下げ、帰ろうとすると、兄の腕をつかんで、立ったまま寝かけていた花音が顔を上げ、
「課長、お茶でも飲んでいってください」
と言い出す。
「課長なのか」
と兄がこちらを見る。
「職権乱用だな」
と。
「違うよー。
ご親切に送ってくださったんだよー」
わかったわかった、お前はもう入って寝ろ、と彼は妹を奥へと押しやろうとする。
仲の良さそうなその様子を見ながら、待てよ。花音の兄ということは、この男もイタリアに居たのか、と思った。
「じゃあ、失礼します」
ともう一度言うと、
「すまなかったな。
花音が迷惑をかけて」
一応、そう詫びてきた。
ドアが閉まる直前に、
「じゃあな、情熱の貴公子」
と言うのが聞こえた。
「二杯だよ」
二杯でか? と顔をしかめる。
「一服盛られたのか」
今、それを言うと、俺が盛ったことになるんだが……。
この兄妹、似てないようで、発想がおかしなところが似ているな、と思った。
「じゃあ、これで」
失礼します、と頭を下げ、帰ろうとすると、兄の腕をつかんで、立ったまま寝かけていた花音が顔を上げ、
「課長、お茶でも飲んでいってください」
と言い出す。
「課長なのか」
と兄がこちらを見る。
「職権乱用だな」
と。
「違うよー。
ご親切に送ってくださったんだよー」
わかったわかった、お前はもう入って寝ろ、と彼は妹を奥へと押しやろうとする。
仲の良さそうなその様子を見ながら、待てよ。花音の兄ということは、この男もイタリアに居たのか、と思った。
「じゃあ、失礼します」
ともう一度言うと、
「すまなかったな。
花音が迷惑をかけて」
一応、そう詫びてきた。
ドアが閉まる直前に、
「じゃあな、情熱の貴公子」
と言うのが聞こえた。