早く俺を、好きになれ。
優しさ
それから2日後、虎ちゃんのバスケの練習試合の応援のために蘭と学校を訪れていた。
体育館にある2階のギャラリー。
1番前の特等席を2つ確保すると、荷物を置いてそっと1階に下りた。
キョロキョロして虎ちゃんの姿を探す。
あ、いた。
「虎ちゃん!」
体育館の入口で準備運動をするバスケ部員の中に、虎ちゃんの姿を見つけて駆け寄る。
邪魔をしないように、用が済んだらすぐに上に戻るつもりだった。
「よっ!来てくれたんだな」
無邪気な笑顔。
いつもの虎ちゃんだ。
ユニフォームに身を包んだ虎ちゃんは、いつもより何倍もカッコ良く見える。
「まぁね。コレを渡そうと思って」
ブレザーのポケットから取り出したのは、黒と黄色と白のヒモで編んだミサンガ。
「マジ?俺のために?」
整った顔がみるみる内にパアッと華やぐ。
まるでプレゼントをもらって喜ぶ子どものよう。
そこまで嬉しいかね、私の作ったミサンガが。
ホント単純なんだから。
「頑張ってね!応援してるから」
縁起が悪いってことは置いといて、勝てますようにってたくさん願いを込めて編んだから、ご利益があると嬉しいな。