早く俺を、好きになれ。


喉の奥が熱い。


胸が……苦しい。



「ごめん、簡単に気持ちなんて変わんねーよな。ただ、俺の想いを知って欲しかっただけだから。困らせて悪かった」



虎ちゃんの手はまだ震えている。


当たり前だよね。


緊張しないわけがない。


言われた私ですら、こんなにも緊張してるんだから。



「咲彩が誰を好きなのか、今日初めてわかった。しかも、俺がカッコ良くスリーポイントシュートを決めた直後な。あいつを見つめる咲彩の顔見たら、一発でわかった。

やたら授業中に目合うなーとは思ってたけど、まさかあいつのことを見てたとはな」



フッと自嘲気味に笑う虎ちゃんに、堪えた涙がガマン出来なくなってうつむいた。


スカートや握り締めたミルクティーの缶の上に、ポタポタと涙がこぼれ落ちる。



「気付いてやれなくてごめん。ずっとツラかったんだな」


「そんな、こと……ないっ。わた、しの方こそ……」


……ごめんね。


虎ちゃんの気持ちを冗談ですまそうとして。


「咲彩はなんも悪くねーよ」



そう言って、虎ちゃんは私の頭を優しく撫でてくれた。


自分の気持ちより、私の気持ちに寄り添ってくれる優しい虎ちゃん。


ねぇ、優しすぎるよ。


……ツラかったなって。


私は悪くないって。


虎ちゃんだって、ツラいはずなのに。


私なんかに、そこまで優しくする必要なんかないんだよ?


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