早く俺を、好きになれ。
虎ちゃんに知られたら、からかわれると思ってた。
バカにされるって。
でも、違った。
キミはこんなにも優しくて温かい。
私は一体、虎ちゃんの何を見てたんだろう。
親友なんて言っておきながら、何もわかってなかった。
ごめん。
ごめんね……虎ちゃん。
私のために、虎ちゃんはこんなにも胸を痛めてくれてる。
手の温もりからそれが伝わって来た。
だから余計に涙が溢れて止まらなかった。
いつまでもいつまでも、虎ちゃんは私の頭を撫でてくれて。
落ち着いた頃には日が傾き始めていた。
『ずっとツラかったんだな』
虎ちゃんのその言葉だけで、何も言わなくても私の気持ちをわかってくれた気がした。
おかしいかもしれないけど、それだけで救われた気がした。
「気まずくなるのとか勘弁しろよ。咲彩と話せなくなるのは俺もキツいし、今まで通りに接してくれたら嬉しい」
虎ちゃんはどこまでも優しくて。
強くて。
何も言わなくても、私が欲しい言葉をくれる。
私のことをよくわかってくれてるのに、私は何もわかってなかった。
ごめんね。
「……ありがとう」