早く俺を、好きになれ。
「咲彩って……市口のことか。確かお前、帰宅部だったよな?」
えっ……!?
恐る恐る顔を上げると、期待に満ちた先生の顔が目に入った。
待ってよー。
なんで私が!
「ムリムリ、できません!」
クラスメイトからの視線を一斉に浴びる。
一気に居心地が悪くなってオロオロしてしまう。
うっ。
一部の女子から睨まれてるような気がするんですけど。
「末永もお前を推薦してるし、やってくれるよな?」
「えっ……!?いや、だからムリだって」
「やってくれるよな?」
えー?
ちょっと待ってよ。
断ることが出来ない状況に陥った。
ちょっと待てー!!
なにこの状況!
絶対仕組まれてる。
理不尽だよ、不本意だよー。
虎ちゃん、あんたなに考えてんの?
なにケロッと私を推薦してんの?
曲がったことが嫌いなんだよね?
自分からやりたいっていう女子にやらせなよー!
私、やりたいなんて少しも思ってないからっ!