早く俺を、好きになれ。
「やるよな?咲彩」
隣から悪魔の囁きが聞こえた……ような気がした。
なぜかニヤッと笑われている気がしてならないのは、その声にイジワルさが含まれているのがわかったから。
「わ、私、調理部に入ってて……っ」
「おー、そうかそうか。やってくれるか!なら女子は市口に決まりな」
「えっ……いや、だから調理部が」
あるんですけどー!!
やるなんて一言も言ってないんですけどー!
理不尽だよ。
不公平だよ。
やりたくないよ!
「じゃあ今日のところは解散!また明日な」
ワイワイザワザワと途端に騒がしくなり始める教室内。
私は呆然としたまま動けなかった。
なんで、こんなことに。
「虎ちゃん……っ!私、やるなんて一言も言ってないけどっ」
「まぁまぁ。もう決まったんだし、一緒に頑張ろうぜ」
鼻息を荒くして突っかかる私の肩に手を置き、なだめるようにポンポンと軽く叩く。
イジワルな笑顔に、ニヤリと笑う憎たらしい口元。
「っていうか、なんで私なの?」
学校祭委員はクラスの出し物の案をまとめたり、何かと先頭に立って仕切ってやってかないといけない。
みんなの意見をまとめたり、仕切るなんて私にはもってのほか。
出来っこないのに。