早く俺を、好きになれ。
まず、みんなの前で話すことさえ億劫。
目立ちたくもない。
そんな私が学校祭委員だなんて。
お祭りは好きだけど、中心になって何かをするのは苦手なんだよ。
虎ちゃんだって知ってるくせに。
「なんでって、咲彩としたかったから」
「……っ」
「つーか、いちいち言わせんなよ」
イジワルに笑っていたかと思えば、今度はみるみる内に真っ赤になっていく虎ちゃん。
そんな虎ちゃんを見て、どんな反応を示せばいいのかわからない。
だって、私としたかったからなんて……そんなストレートに言われても。
「おーおー、相変わらずラブラブなんだな。ほら、早く部活行かねーと先輩に怒られっぞ」
斎藤君が私たちの前までやって来て虎ちゃんを急かす。
「市口さんも大変だねー。コイツと付き合うの」
斎藤君は何を勘違いしているのか、余計なことばかり言って来る。
ヘラリと笑って、なんだか面白がっているみたい。
「私たち、付き合ってないから」
勘違いしないで欲しい。
虎ちゃんも、仲良しの友達くらいには否定してよ。
野放しにしておくから、ウワサが後を絶たないんだ。
「付き合ってないって知ってるけど。でも、虎の気持ちも知ってるし。俺的には応援してるからさ」