早く俺を、好きになれ。


えっ?


付き合ってないって知ってるの?



思わず目を見開く。


知っててわざとそんな風に言うなんて。


斎藤君って実はイジワルなんだ。


さすが警戒レベル5なだけはある。



「虎はモテるのに一途過ぎてバカッつーか。エースのくせに恋愛には奥手みたいだから、つい応援してやりたくなるんだよねー!」



「エースと恋愛の何が関係あるんだよっ。バカなこと言ってないで行くぞ」



「へいへい。じゃあね、市口さん」



ヘラッと笑いながら私に手を振る斎藤君の首根っこを虎ちゃんが引っ張る。


虎ちゃんの顔は赤いままで、気まずいのか私と目を合わせようとしない。



「じゃあな、咲彩」



「……うん、バイバイ」



こんなにあからさまに態度に出されたら、さすがの私もどう振る舞えばいいのかわからない。


これでいいんだよね?


疑問に感じながら、2人が教室から出て行く背中を見つめていた。



って……!


結局学校祭委員のことは何も解決してないんだけど。


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