早く俺を、好きになれ。
はぁ。
もう今さら誰かと代わってもらうなんてムリだよね。
先生もノリノリだったし。
気が重いよ。
「市口さん」
いつものようにカバンを肩にかけて歩き出そうとした瞬間、武富君と思いっきり目が合った。
なんだか眉を下げて申し訳なさそうな顔をしている。
「ごめん、なんだか押し付けるみたいな形になって。末永にも悪いことしたよな」
クシャクシャと髪を掻き回す武富君。
学校祭委員のことを言ってるんだよね。
「あれは虎ちゃんが勝手に言い出したことだし、武富君が気にすることないよ」
まぁ、虎ちゃんに指名されて不本意ではあるけど。
でもそれは武富君のせいじゃないわけで。
だけど、出来るなら武富君と一緒が良かったな。
なんて。
「末永ってすげえよな。臆することなく、言いたいことをポンポン言えて」
「そうかな?自由過ぎて、振り回されるこっちはたまったもんじゃないよ」
たまにわけのわからないことを言い出すし、会話が噛み合わないこともある。
さっきだって、無理やり引きずり込まれたようなもんだし。