早く俺を、好きになれ。
chapter*3
絡まる糸
それから数日後の放課後。
武富君から借りた本を返し忘れていたことに気付いて、昇降口から教室に引き返そうと振り返った瞬間。
「わっ」
「っぶねー」
すぐ後ろにいた人にぶつかった。
そこにいたのはスマホをイジリながら歩いていた虎ちゃん。
ぶつかった衝撃でスマホが床に落ち、カシャンと大きな音が響く。
「ご、ごめん」
「いや、俺はへーき」
「わー、でもスマホが!画面とか割れてないかな」
慌てて拾って画面を確認する。
少し汚れてはいたけど、傷が付いてはいないみたいだったのでホッとした。
「良かった、割れてない。ホントにごめんね」
「はい」とスマホを返そうとしたところで、虎ちゃんからまっすぐな眼差しを向けられていることに気付いた。
「なに?」
なんでそんなにジロジロ見てんの?
なんか気まずいんですけど。