早く俺を、好きになれ。
焼き上がったクッキーと紅茶で休憩タイムに突入。
フレンドリーな愛菜さんは年上って感じがしなくて、なんだか友達のような親近感が湧く。
「わー!颯太が好きなマーブルクッキーじゃん!昔よく作ったな〜!」
1人テンション高く話し続ける愛菜さん。
颯太って……速水君のことだよね?
「愛ちゃん、颯太にベタボレだったもんね〜。そのくせ、クッキー渡すのはいっつも私の役目でさ」
織田さんが小さく笑う。
だけど、やっぱりその顔はぎこちない。
「だってー、恥ずかしかったんだもーん!今はラブラブな彼氏がいるから、それも懐かしい思い出だよ」
「愛ちゃんのせいで、私が颯太と付き合ってるってウワサまで流れて迷惑したんだからね」
「あはは、そんなこともあったね〜!ザ、青春って感じ?」
お茶目な愛菜さんは、悪びれることもなく舌を出して可愛く笑った。
ん?
あれ?
話の内容から考えると、織田さんは速水君を好きじゃないってこと……?
叶ちゃんが言ってたよね。
織田さんがお菓子渡してるところを何度も見たって。
それって……愛菜さんが作った物を、織田さんが渡してただけだったの?
それが原因で、付き合ってるっていう根も葉もないウワサが流れてただけ?