早く俺を、好きになれ。
「あ、ごめんごめん。咲彩ちゃんを置いて話しちゃってた!ごめんね。柑菜って学校ではどんな感じ?この子、子どもの頃から不器用でさー。そのくせ、バカみたいに一途で。今も大成しか見えてないって感じでしょ?」
「も、もう……っ!愛ちゃん!余計なこと言わないでっ!大成のことは今は関係ないでしょ。ごめんね、市口さん」
イジワルな笑みを浮かべる愛菜さんに、織田さんは焦っている。
「ううん……私は全然」
「ごめんごめん。でも、初恋が叶って良かったじゃん!ずっと応援してたから、付き合ったって聞いた時は嬉しかったんだよ〜?」
「……っ」
愛菜さんの言葉に、織田さんは何とも言えない表情でうつむいた。
唇を噛み締めて、拳を強く握って、必死に何かに耐えているように見える。
初恋が叶ったってことは……織田さんはやっぱり武富君のことが好きなんだ。
速水君のことは好きじゃないんだよね?
「柑菜?どうしたの?」
「……れた」
「え?」
「大成とは……別れた」