早く俺を、好きになれ。
「いいよ。咲彩のまっすぐなところは嫌いじゃないし。こんな状態で自分の方に向いてくれても、スッキリしないってのは何となくわかるしね」
「うん。蘭ならそう言ってくれると思ってた」
そう言って欲しかったから、蘭に会いに来たのかもしれない。
私は自分がどうしたいのか、その気持ちを確かめたかったんだ。
「じゃあ、帰るね!お邪魔しました」
「うちでご飯でも食べてけば?うちのママ、咲彩のこと気に入ってるから誘えってうるさいんだよね」
「いやいや、悪いよ。おばさんには、また今度ご馳走になりますって言っといて」
「えー?つまんなーい」
「じゃあ行くね。バイバイ」
「えー!」
ブーブー言う蘭の声を背中で聞きながら、カバンを持って部屋を出た。
廊下を歩き出したその時。
ーーガチャ
いきなり蘭の隣の部屋のドアが開いた。
そこは虎ちゃんの部屋。
「わっ」
「うわっ」
ビックリして驚きの声を上げる。
虎ちゃんは大きく目を見開いて、かなりビックリしているようだった。
首からタオルをかけ、頭を拭いていたのか片手を頭にやったまま止まっている。
髪からポタッと雫が落ちた。
「ビビッたー!急に出てくんなよ」
「っていうか……っ!は、裸……!」
なんで服を着てないわけ!?
目のやり場に困って、とっさに下を向く。