早く俺を、好きになれ。
ど、どうしよう……。
こんなところで泣きたくなんかないのに、涙が止まらないよ。
「ダンボールはまた今度にしようか。とりあえず、落ち着くまで……」
「だ、大丈夫だよ……っ!今度だと間に合わなくなるかもしれないし……」
ズビッと鼻をすすりながら涙を拭う。
私のせいで武富君に迷惑をかけるなんて嫌だもん。
だから、今だけは堪えなきゃ。
止まれ、涙。
お願いだから。
これ以上武富くんを困らせたくない。
だから……止まって。
「もう大丈夫だから、行こっか……!」
根性で泣き止んだ私は、心配してくれる武富君をよそに歩き出す。
足音がすぐ後ろで聞こえて、ついてきてくれてることがわかった。
隣に並ばずに後ろを歩いてくれるのは、武富君の優しさだよね。
泣き顔……見られなくて良かった。
まっすぐに私の気持ちと向き合って返事をしてくれた武富君。
このままなかったことにして返事を聞かなかったから、後悔していたかもしれない。
今はまだツラくて仕方ないけど、良かったって思える日がくるのかな。
「市口さんって……すごいよな」
「え……?」
すごい……?