早く俺を、好きになれ。
「末永君、まだ咲彩に未練ありそうだし。少しはなびいたりしてない?」
叶ちゃんに顔を覗き込まれてドキリとする。
「ありえないよ」
だって、私は昨日武富君に振られたばっかりだし。
そのことを思い出すと、胸が苦しくて仕方ない。
それなのに、虎ちゃんになびくなんてありえない……。
そう、ありえない。
「実はね……」
私は話の流れで、武富君に告白したことを叶ちゃんに話した。
その後虎ちゃんの前で泣いちゃったことも、叶ちゃんには隠し事をしたくなくて正直に打ち明けた。
「そっかぁ。ツラかったね」
ポンと頭を撫でてくれた叶ちゃんの優しさが嬉しくて、じんわり涙が滲んだ。
昨日あれだけ泣いたのに、武富君のことになると涙腺がゆるみまくって全然ダメ。
「でもさ!告白しようと思えるようになったことは、すごいことじゃん。それだけ咲彩が成長したってことだよ」
「成長……?」
涙目で叶ちゃんの顔を見る。
「うん!気持ちがどんどん成長してるってことでしょ?大丈夫だよ、ずっとこのままってわけじゃないから。ツラいのは今だけ。咲彩は確実に前に進んでるよ」
前に……進んでる?
ホント?
「それより、末永君にドキッとしたりもしないの?」
「虎ちゃんに……?ない、よ」
「ホントに?少しも?」
「少しだけなら……ある、かな」
っていうか、ついさっきのことだけど。
思い返すと、なんだか照れくさい。
「私……虎ちゃんの優しさに甘えてるだけなのかな?」
「うーん……今はツラい時なんだし、いいんじゃない?」
「そう、かなぁ」
このまま一緒にいても、いいのかな?