早く俺を、好きになれ。
chapter*4
学校祭と傷跡
学校祭の事前準備に追われて、めまぐるしく日々は過ぎて行った。
巨大迷路はダンボールも足りて無事に出来上がり、いよいよ今日が文化祭本番。
調理部で出すと決めたマーブルクッキーをカバンに詰めて、少し早めに学校へやってきた。
調理室に顔を出すと、すでに3年の先輩がいて「おはよう」と声をかけられる。
「おはようございます、マーブルクッキー持ってきました」
クッキーが入った手提げカバンをそっとテーブルに置いて、中身を取り出す。
織田さんと練習した甲斐もあって、今回のはうまく焼けたと思う。
「わ、上手」
「うん、綺麗に焼けたね。これならすぐに売り切れちゃいそう」
「ホントですか?ありがとうございます」
先輩たちの笑顔と言葉が嬉しくて頬がゆるむ。
最初の頃はどうなることかと思ったけど、調理部に入ってよかった。
「前にも話した通り、売り子は2人ずつで2時間交代ね。市口さんは織田さんとペアで、12時からだから」
「はい、頑張ります!」
最初の2時間は1年生の2人が売り子をして、その後が私と織田さんの番。
お昼を過ぎてからがピークで1番忙しい時間帯らしく、3年の2人が売り子をする頃にはもうほとんど何も残っていないんだとか。