早く俺を、好きになれ。


虎ちゃんとは学校祭の日からまともに話していない。


顔を合わせたら挨拶はするけど、前みたいにふざけ合ったり笑い合うことはなくなってしまった。


あからさまに避けられてるのは、気のせいじゃないと思う。


寂しいけど……あたしから突き離したわけだし。


今さら普通になんてできないから、これでいいんだ。



慌ただしく期末テストがやって来て、気付くと7月中旬に入っていた。


テストの結果はまぁ平均ってとこだったけど、補習は免れたからよしとしよう。


あとは夏休みが来るのを待つばかり。



「もうすぐ夏休みだね〜!」


「だね〜!叶ちゃんはどっか行くの?」


「うん!毎年夏はハワイとフランスに2週間ずつ旅行してるよ」


「うわ、何それ。さすがお嬢様」


「ふふ、お土産買ってくるね!咲彩はどっか行くの?」


「私?うーん、田舎のおばあちゃんちくらいかな。中学の頃は蘭の家に入り浸ってたけど……今年はそうもいかないし」


「蘭ちゃん、彼氏できたんだっけ?」


「ううん。でも、速水君といい感じだって言ってたよ」



学校祭の日に仲良くなってから、時々デートしてるって言ってたし。


今年の夏はひとりかなぁ。


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