早く俺を、好きになれ。


どうして?


なんて聞かれてもわからない。


ただ、気になる。


それだけ。



涼むために寄ったコンビニでアイスを買って、思い切って蘭の家に行ってみた。



「あら〜、咲彩ちゃん!久しぶりね〜!暑かったでしょ?わざわざごめんね〜!」



アポなしで訪問した私をにこやかに出迎えてくれたのは、蘭と虎ちゃんのお母さん。


2人はおばさん似で、笑った時に目尻にできるシワがそっくりだ。


うちのお母さんとは違って、若々しくて小綺麗で。


なんといっても、すごく美人。



「いえ、突然来てしまってすみません。蘭、いますか?」


「それがね〜、今日は夜まで帰らないのよ。でも、虎がいるから上がって上がって〜!」



おばさんが私の腕を引いて家の中に入れてくれる。



「あ、いえ……!蘭がいないなら、また出直します」


「え〜、いいじゃない!ちょうど今、水ようかんを切ったところだったの」



強引なおばさんにグイグイ引っ張られ、私はあっという間に玄関の中へ。


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