早く俺を、好きになれ。


スッキリしないまま数日が経った。


あれから虎ちゃんはクラスでもあまり目立つことをしなくなり、別人のように大人しくなってしまった。


ただぼんやり窓から外を眺めていることも多くなって、その背中がやけに寂しげに見えて胸が痛い。


だけど、私は話しかけることができなかった。


拒絶されるのが……たまらなく怖かったんだ。



「す、末永君……やっぱり私、諦められないよ。好き、だから。付き合ってほしいの」



放課後の昇降口で、まだ生徒がパラパラいる中そんな声が聞こえて来た。


靴箱からそっと顔を覗かせると、顔を真っ赤にしてうつむく女の子と虎ちゃんの背中が見えてドキリとする。


あの子、学校祭の時も虎ちゃんに告白してたっけ。



「お願い……どうしても、好きなの。諦められないの。だから」


「けど、俺」


「いいの、わかってる。あたしのこと、好きじゃなくてもいいから!お願い」



女の子の真剣さが伝わってきて、胸が押し潰されそうなほどに痛む。


虎ちゃんはなんて返事をするんだろう。


気になってしまって、足が棒のように動かなくなる。


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