早く俺を、好きになれ。
いつだって私に優しかった虎ちゃん。
虎ちゃんは、どんな時も私の味方でいてくれた。
励ましてくれた。
虎ちゃんの明るさや優しさに、どれだけ救われたかわからない。
「咲彩の言う『好き』の意味って、ダチとしてってことだよな?」
「う、うん」
「……っ」
「でもっ!」
でもねーー。
「虎ちゃんに抱きしめられると……ドキドキする」
虎ちゃんの背中をギュッと抱きしめ返して、その胸に顔を埋める。
すると、虎ちゃんの腕がピクッと反応した。
「はぁ。咲彩って、天然小悪魔だな……」
自分の鼓動が速くなっていくのを感じたけど、虎ちゃんの心臓は私以上に速かった。
「て、天然小悪魔……?」
なにそれ。
性格が悪いって言いたいの?
「落として、上げて……どうしたいんだよ?諦めるって決心したのに、簡単に壊してくれやがって」
「え?」
意味がわからない。
体を離して顔を上げると、虎ちゃんはなぜかスネたような顔をしていて。
目が合うとプイとわざとらしくそらされた。
「虎ちゃん……照れてる?」
「うっせー、黙れ」
唇を尖らせた虎ちゃんは、顔を見られたくないのかおでこをコツンとぶつけてきた。
「いたっ。なにすんの」
「咲彩が悪いんだろ、バーカ」
「ムッ、バカって言う方がバカなんだよ」
「うっせー、バーカ」
「また言った!」
ああ、私はーー。
ずっと、虎ちゃんとこうしたかったんだ。
懐かしい気持ちで満たされて、心にポッカリ開いた穴が埋まっていくような気がした。