早く俺を、好きになれ。
なに、それ。
そんなの、堂々と言われたら恥ずかしいよ。
「俺ばっか振り回されてきたからな。覚悟しとけよ、バーカ」
「バカって言う虎ちゃんは、好きじゃありません……」
「なっ……お前」
好き。
好き……。
好き、か……。
いつか、この気持ちの正体がわかったら……その時は。
「咲彩」
真剣な虎ちゃんの声が耳元に聞こえる。
甘く澄んだ声に、胸が熱くなる。
武富くんのことが好きだったはずなのに……今は虎ちゃんにドキドキしちゃってる。
なんなんだろう、この気持ち。
恋……?
友情?
密着していた虎ちゃんが、私の顔を覗き込むように上から見ている。
ドキンドキンとさらに跳ね上がる鼓動。
顔がどんどん熱くなっていくのがわかる。