早く俺を、好きになれ。
「目、そらすなよ」
「え……?」
「早く俺を、好きになれ」
「……んっ」
熱のこもった瞳に吸い込まれそうになったのと、虎ちゃんの唇が重なったのはほぼ同時。
突然のことにビックリして、目を見開いたまま固まる。
一瞬だけ触れた虎ちゃんの唇は、すぐに私から離れた。
「な、なに……すんの」
なんで……こんなこと。
まともに顔が見れなくて、冬だというのに体が火照って熱い。
「今度は、咲彩が振り回される番だから」
「なっ……」
なに言ってんの。
そんな理由で、私のファーストキスはあっけなく奪われた。
わけがわからなくてしばらくその場から動けなかったけど、いつまでもジンジン唇は熱かった。