早く俺を、好きになれ。


「自分の気持ちがよくわからないの。虎ちゃんも、今度は俺が振り回す番とか言うし、キスするし」


私にどうしろっていうの?


あの日から、考えすぎて頭がおかしくなりそう。


「はぁ……咲彩って、ホントバカ」


うっ。


やっぱり呆れてるよね。



その理由は、私が何も言わなかったことだ。


虎ちゃんの告白を断ったことも、その日から話さなくなってしまったことも、私は蘭に言ってなかった。


言わなくてもバレバレだっただろうけど、どうしても虎ちゃんの身近にいる蘭には言えなかったんだ。


「なんでこんなになるまで何も言ってくれなかったの?武富君は?もう好きじゃないの?いつの間に虎とキスなんて……!あーもう!ホント、意味わかんないから!わかんなすぎて、頭がおかしくなってきた」


「ごめんね」



心配してくれてたんだよね。


ホントにごめん。



「いいよ、もう。咲彩が溜め込むのは、今に始まったことじゃないし」


「うん」


「どっちかっていうと、あたしは虎の恋を応援してたし。ぶっちゃけ、武富君なんかやめて、虎にすればいいのにって思ってたし」


「う、うん……?」


そうなの……?


「2人がうまくいきそうなら、もうなんでもいいよ。長い目で見守ることにする」


「…………」


うまく、いきそうなのかな……?


「ドキドキするってことは、この先虎のことを好きになる可能性もあるってことだし」


「そ、そうかな?」


「多分ね」


なんだかんだ言いつつも、蘭は最後には私の味方をしてくれる。


ごめんね。


そして、ありがとう。



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