早く俺を、好きになれ。
「うん、マジ寒い。お坊さんにだけは、絶対にならねーって思った」
「あはは、なにそれ!っていうか、虎ちゃんがお坊さんになれるわけないから〜!」
「お前なぁ、バカにしてんのか?」
「してないよ」
いつもの私たちのペース。
やっぱりいいな、この感じ。
「咲彩のバーカ」
「失礼なっ!虎ちゃんって、ホント子どもみたいだよね」
「はぁ?」
「ほら、すぐそうやってムキになる」
「…………」
黙り込んだ虎ちゃんを見て、思わず笑いが込み上げる。
虎ちゃんはスネたように唇を尖らせて、じとっと私を睨んだ。
でもその頬は赤く染まっていて、少し照れくさくなった。
なんだか変な感じ。
ドキドキして落ち着かないよ。
「今日……俺の応援しに来てくれる?」
「うん……もちろん」
「優勝したら、1番に咲彩の元に走ってくから」
「……うん、待ってる」
いつまでも、待ってるよ。
それでね、今度こそちゃんと伝える。
そう……ちゃんと。
ちゃんと好きだって伝える。
今度は勘違いされないように、ちゃんと。