早く俺を、好きになれ。
いつの間にか他の競技も終わっていて、体育館の中はたくさんのギャラリーで溢れ返っていた。
「末永先輩、バスケ部に復帰したのかな?」
「試合に出てるってことは、そうなんじゃない?」
「でも、今のあの髪型はないよ〜!前はカッコ良かったのに〜!」
後ろで1年生の女の子が騒ぐ声がする。
あはは、相変わらず髪型は不評だなぁ。
「斎藤先輩はやっぱりカッコ良いよね」
「うんうん!やばーい!」
斎藤君も、相変わらずモテるんだ。
隣で叶ちゃんが聞き耳を立てているのがわかって、思わず笑ってしまった。
バスケ部はイケメン揃いだからなのか、ギャラリーは圧倒的に女子が目立つ。
試合が始まるやいなや、固唾を呑んでそれを見つめる。
さすがに対戦相手がバスケ部となると、今までみたいに簡単に得点には繋がらず、ボールを持っても行く手を遮られてしまう。
両チームとも0点のまま、時間だけが過ぎていった。
「あ〜!もう!なんで虎にパスしないの!?斎藤の意地っ張り〜!」
ボールを持っても虎ちゃんにパスを出さず、そのまま突破しようとする斎藤君に蘭が怒る。
素人の私が見ても、2人に阻まれたあの局面ではパスをするのがよかったんじゃないかと思った。