早く俺を、好きになれ。
「ま、待って……」
「なんだよ?」
唇が触れそうなスレスレの距離で顔を背けると、さらにスネた声が聞こえた。
耳にかかる吐息に、頭の芯がクラクラする。
「ま、まだ……返事、聞いてない」
「返事……って、言わなくてもわかるだろ」
「……わかんないよ」
ちゃんと言ってくれなきゃわからない。
それに……。
「私のこと、どう思ってる?」
ちゃんと言ってくれなきゃわからない。
「どうって……今さらだろ、それ」
「それでも、虎ちゃんの口からちゃんと聞きたい」
聞きたいんだ。
ゆっくり顔を上げて、虎ちゃんの目を見つめる。
虎ちゃんは気まずそうに視線を左右に泳がせたあと、覚悟を決めたかのようにまっすぐに私を見た。
「すっげえ好き」
色気を含んだ声に心臓が跳ね上がる。
胸に温かい気持ちがじんわり広がった。
「だから……俺だけのヒロインになって下さい」
「……っ」
恥ずかしいやら嬉しいやらで、熱い気持ちが込み上げてくる。
知らなかった、こんな気持ち。