早く俺を、好きになれ。


「う、ん。虎ちゃんだけの……ヒロインになりたい。よろしく……お願い、します」


「やべ、なんだこれ。マジでハズい。つーか……」



グッと顔を覗き込まれて、恥ずかしすぎてどうにかなっちゃいそう。



「マジで俺でいいの?」


「うん、虎ちゃんがいい……」


「俺……結構ヤキモチやくよ?すぐスネるし、ガキだし、甘いもの好きだし。咲彩と武富が話してるとこ見たら、一気に機嫌が悪くなるけど」


『それでもいいのかよ?』


耳元でそう囁かれて、さらにドキドキしてしまった。



「い、いよ。どんな虎ちゃんも……好きだから。毎週水曜日はお菓子の差し入れだってするし、スネてたらどうにかしてご機嫌取りもする」


「ぷっ。咲彩も、面倒な奴を好きになったよな」


「ううん、そんなことないよ。虎ちゃんにはたくさん助けてもらったもん」


感謝してるんだ。


目が合って、顔を見合わせて笑い合った。


恥ずかしいけど、こうやって笑い合えるだけで幸せだって思える。



「俺、面倒な奴だけど。咲彩が困ってたら助けるし、何かあったら1番に飛んでくって約束する。ツラい思いは絶対させない。一緒にいる限り、ずっと笑わせるから」


「うん」


「つーか、嫌がっても離してやんないから覚悟しとけよな」



そう言ってフッと小さく笑った虎ちゃんは、私の唇に自分の唇を重ねた。


温かくて優しい虎ちゃんの唇に涙が込み上げてくる。



こんな私を好きになってくれてありがとう。


ツラくて泣いてた時、虎ちゃんの優しさに救われた。


たくさん笑わせてくれて、いつもそばにいてくれてーー。


ほんとにありがとう。


これからも、虎ちゃんの隣で笑っていたい。






私は今、すごく幸せです。





だから、どうかーー。




この先もずっとずっと




虎ちゃんだけのヒロインでいられますように。



















早く俺を、好きになれ。


《fin》





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