早く俺を、好きになれ。
chapter*2
迷える恋心
あっという間に水曜日の放課後がやって来た。
調理室に入ると、1年生と織田さんが先に来て準備を始めていた。
織田さん……。
武富君に彼女だと聞かされてから、廊下や昇降口ですれ違ったりすることはなく、会うのは1週間振り。
ストレートの黒髪を綺麗にひとつに結んで、茶色と赤のチェックのエプロンをしている織田さん。
背が高くてほっそりしていて、体のラインがとても綺麗。
おまけに美人。
悔しいけど、武富君とすごくお似合いだ。
私なんかじゃ太刀打ち出来ないよ。
「はい、プリント。今日はプリンとチーズケーキだよ」
「あ、ありがとう」
織田さんからプリントを受け取って、とっさに笑みを浮かべる。
胸が痛んだことには気付かないフリをした。
2年の部員は私と織田さんだけなので、毎回織田さんとペアで作ることになる。
今日、ちゃんと作れるかな。
前のこともあるし、何だか少し心配。
それに……織田さんと武富くんのこともあるし。
あー、ダメダメ。
考えないようにしなきゃ。
なんて思いながら手を動かしていても、テキパキ動いている織田さんを見てたら武富くんのことが頭に浮かんだ。
織田さんは、部活で作ったお菓子を武富君にあげたりしてるのかな。