早く俺を、好きになれ。
「ほら、すっごい身近に咲彩を想ってる人がいるかもしれないじゃん!あたしは咲彩には幸せになってほしいって思ってるんだからね」
見上げた蘭の目は真っ赤だった。
……蘭。
「ありがとう」
「だから今は、とことん好きでいなよ。ツラいなら、いつだって話聞くしさ」
私のためにそう言ってくれる優しい親友。
ホントは私は、そう言って蘭に励まして欲しかったのかもしれない。
この気持ちを貫いていいんだよって、誰かに背中を押して欲しかったのかもしれない。
「私……とことん好きでいる。自分の気持ちに正直に生きるよ」
「うん。ツラいかもしれないけど、応援してるからね」
「うんっ!」
なんだか心が一気に軽くなった。
目の前がパーッと明るくなって悟りが開けた感じ。
ムリに諦める必要はない。
自分の心に正直に生きる。
あたしのペースでいいんだよね。
「武富君も図書館なんかに誘わないで欲しいよね〜!ツラいだけだっつーの!」
蘭が大げさに頬を膨らませる。
「だね。でも、ちょっと嬉しかったんだよね」
傷付いたけど嬉しかった。
2人で行こうって言われたわけじゃないのに、おかしいかな?