早く俺を、好きになれ。
「もー、バカー!それ諦められない女の典型的な特徴じゃん〜!2番目の女なんて、あたしは許さないからねー!」
「え!?なにそれ」
2番目の女?
蘭も虎ちゃん同様時々意味がわからないことを言う。
「あー、あたしも恋がしたーい!!どっかにいい人いないかな?」
蘭は爆弾を投下したかと思うと、いきなり話題を変えた。
そして、カバンの中から鏡を出してメイク直しを始める。
「元彼のことはもう大丈夫なの?」
「あー、元彼?あんな奴、寝て起きたらとっくに忘れられたよ。咲彩見てたら新しい恋がしたくなったの」
「さ、さすが蘭」
切り替えが早いな。
「さ、マスカラ塗ろっと。女子は可愛く綺麗でいなきゃね!」
蘭はポーチからマスカラを取り出して、器用に塗っていく。
その横顔は虎ちゃんそっくりだ。
「あー、なんだか恋の予感がする〜!」
「え!?ホント?」
「うん、直感でね」
「直感……」
「あたしの直感は当たるんだから。さ、ってことで一件落着〜!」
「ちょ、蘭!振り回したら黒いのが付くからっ」
「あ、ごめん」
「もう」
テヘッと可愛く舌を出した蘭の仕草に、仕方ないなと呆れつつも笑ってしまった。