上司、拾いました
その時、丁度眠っていたクッションの傍に置いていたスマフォが、ピヨピヨとアラームを鳴らし始める。
東間さんはそれを怪訝そうな表情で見ていたけれど、別に普通のアラームだ。
私はのそのそとスマフォを手に取り、アラームを止める。
「もう、八時半か。東間さん、朝食は――」
「八時半!?」
朝食とかついでに食べて行きますか、と言いかけて、身を乗り出しながら声を上げた東間さんに少し驚く。
とても『しまった!』と言いたげな表情だけれど、もしかして。
「出勤時間ですか、土曜日の」
「もう三十分以上いつもより遅いッ」
東間さんはそう言うなり、慌てた様子で立ち上がる。
そうしてそのまま玄関に出ようとしたので、さすがに「あの」と声をかけた。
「上着とコートと鞄、忘れてますよ」
「どこにある!?」
「ここです」
すぐさま戻ってきた東間さんに、ハンガーへ掛けておいた衣服とその下に置いていた鞄を手渡した。
「それと、さすがにその寝癖のままで行くのはどうかと」
「――ッ洗面所借してくれ!」
「どうぞ」
うちには男物のワックスとかそういうものはないけれど。
でも、そういえば、昨日鍵を探した時に鞄の中で、そういうものを見かけた気もする。
用意周到な人だなぁ。
急ぎ足で廊下の奥に消えた東間さんを見送り、私もその場に立ちあがる。
それから台所へ行って、冷蔵室に入れていたあまりのご飯を電子レンジでチン。
鮭フレークを混ぜて丸いおにぎりを作り、ペットボトルにお茶を淹れてコンビニ袋へ入れる。
そこまでした辺りで、東間さんが早歩きで戻ってきた。
東間さんはそれを怪訝そうな表情で見ていたけれど、別に普通のアラームだ。
私はのそのそとスマフォを手に取り、アラームを止める。
「もう、八時半か。東間さん、朝食は――」
「八時半!?」
朝食とかついでに食べて行きますか、と言いかけて、身を乗り出しながら声を上げた東間さんに少し驚く。
とても『しまった!』と言いたげな表情だけれど、もしかして。
「出勤時間ですか、土曜日の」
「もう三十分以上いつもより遅いッ」
東間さんはそう言うなり、慌てた様子で立ち上がる。
そうしてそのまま玄関に出ようとしたので、さすがに「あの」と声をかけた。
「上着とコートと鞄、忘れてますよ」
「どこにある!?」
「ここです」
すぐさま戻ってきた東間さんに、ハンガーへ掛けておいた衣服とその下に置いていた鞄を手渡した。
「それと、さすがにその寝癖のままで行くのはどうかと」
「――ッ洗面所借してくれ!」
「どうぞ」
うちには男物のワックスとかそういうものはないけれど。
でも、そういえば、昨日鍵を探した時に鞄の中で、そういうものを見かけた気もする。
用意周到な人だなぁ。
急ぎ足で廊下の奥に消えた東間さんを見送り、私もその場に立ちあがる。
それから台所へ行って、冷蔵室に入れていたあまりのご飯を電子レンジでチン。
鮭フレークを混ぜて丸いおにぎりを作り、ペットボトルにお茶を淹れてコンビニ袋へ入れる。
そこまでした辺りで、東間さんが早歩きで戻ってきた。