上司、拾いました
職場を出た後はまっすぐに指定のケーキ屋へと向かった。
東間は甘い物が苦手であるため、仕事絡みの土産を購入する程度にしかこの手の店に訪れない。
そういう理由もありどことなく自分が場違いな感覚も覚えつつ、三樹の言っていたプリンを購入した。
「……確かに、高かったな」
税抜きで四百五十円。
プリンひとつでこの値段は相当に高い。
そして一個だけというのもどうかと思い、クッキーやマカロンの詰め合わせまで買ってしまっていた。
しめて千五百円。おそらくこれだけのものを渡しても、三樹はにこりともしないのだろう。
おそろしく可愛げのない女だ。
想像だけでそんなことを思いながら、三樹の自宅であり、自分の自宅でもあるアパートを目指して帰路を進む。
「夕飯はどうするか……」
自炊という選択肢はありえない。
かといって自宅に貯蔵しているカップ麺の類は底を尽きた。
どこかで補充するしかないのかと思っていた最中コンビニの前を通り、とりあえず今日の分はそこで補うことにした。
暖房の入っている店内に入るだけで、無意識に小さく息を吐く。
これからより寒さも深まるのかと思うと、やっていられない。
「……ん?」
そうしてカゴに野菜ジュースとカップ麺をいくつか入れていると、昼間に佐伯の食べていたメロンパンが目に入った。
例のポイントシールが貼り付けられているので間違いない。
一体景品はなんなのかと確認してみると、どうやらひよこのキャラクターの食器と引き換えてもらえるようだった。
「そういえば、あいつのアラームとパジャマ……」
ひよこだった気がする。
そして、ポイントを引き渡すことで三樹が一ミリでも笑うという話を思い出し、東間はその場にしばらく静止した。
「……いや、まったく興味はないけどな」
そう誰に向けているのかもわからない弁明をしている東間の目に、なぜか店内に飾られている、大きなひよこのぬいぐるみが飛び込んできた。
東間は甘い物が苦手であるため、仕事絡みの土産を購入する程度にしかこの手の店に訪れない。
そういう理由もありどことなく自分が場違いな感覚も覚えつつ、三樹の言っていたプリンを購入した。
「……確かに、高かったな」
税抜きで四百五十円。
プリンひとつでこの値段は相当に高い。
そして一個だけというのもどうかと思い、クッキーやマカロンの詰め合わせまで買ってしまっていた。
しめて千五百円。おそらくこれだけのものを渡しても、三樹はにこりともしないのだろう。
おそろしく可愛げのない女だ。
想像だけでそんなことを思いながら、三樹の自宅であり、自分の自宅でもあるアパートを目指して帰路を進む。
「夕飯はどうするか……」
自炊という選択肢はありえない。
かといって自宅に貯蔵しているカップ麺の類は底を尽きた。
どこかで補充するしかないのかと思っていた最中コンビニの前を通り、とりあえず今日の分はそこで補うことにした。
暖房の入っている店内に入るだけで、無意識に小さく息を吐く。
これからより寒さも深まるのかと思うと、やっていられない。
「……ん?」
そうしてカゴに野菜ジュースとカップ麺をいくつか入れていると、昼間に佐伯の食べていたメロンパンが目に入った。
例のポイントシールが貼り付けられているので間違いない。
一体景品はなんなのかと確認してみると、どうやらひよこのキャラクターの食器と引き換えてもらえるようだった。
「そういえば、あいつのアラームとパジャマ……」
ひよこだった気がする。
そして、ポイントを引き渡すことで三樹が一ミリでも笑うという話を思い出し、東間はその場にしばらく静止した。
「……いや、まったく興味はないけどな」
そう誰に向けているのかもわからない弁明をしている東間の目に、なぜか店内に飾られている、大きなひよこのぬいぐるみが飛び込んできた。