上司、拾いました
「さあ、どうぞ」
私がそう言って中に入るよう促しても、東間さんは腑に落ちない様子で口を開く。
「……そういわけにもいかないだろ。昨日は仕方ないにしても、一人暮らしの女の部屋に入れるか。それに、別に礼が欲しくてそいつをやったわけでもない」
「はあ」
本当にびっくりするほど真面目な人だ。
ある意味誠実で好感すら覚えるが、この場に限っては面倒くさくもある。
こっちがいいと言っているんだから別にいいのに。
どうせ私のことなんて、ろくに女として見てもいないに決まっている。
……いや、ここまで食い下がるということは、最低限のラインはクリアしているのかもしれないけれど。
そんなことを思いつつ、小さく息を吐く。
「ご飯食べるだけですよ。食べたらさっさと帰ってもらいます」
「……しかし」
「わかりました」
これでは埒が明かない。
そう悟った私は、東間さんに少し待っているように言って一度室内へと戻った。
それからひーくんぬいぐるみをベッドに置き、すぐさま台所へ向かう。
始めに手早く丼に白米を盛り、次に親子丼の具をかけ。
味噌汁と簡単なサラダも皿にわけてから、大きめのトレーにそれを全部置く。
そしてトレーを両手に持ったまま、玄関へと戻った。
「お待たせしました」
「なんのつもりだ」
「うちで食べるのが嫌なら、ご自宅でどうぞ。お部屋までなら持っていきます」
さすがにそこまでやると、東間さんは言葉につまったように口を閉じ、諦めたように溜息をついた。
「……わかった、頼む」
「頼まれました」
私がそう言って中に入るよう促しても、東間さんは腑に落ちない様子で口を開く。
「……そういわけにもいかないだろ。昨日は仕方ないにしても、一人暮らしの女の部屋に入れるか。それに、別に礼が欲しくてそいつをやったわけでもない」
「はあ」
本当にびっくりするほど真面目な人だ。
ある意味誠実で好感すら覚えるが、この場に限っては面倒くさくもある。
こっちがいいと言っているんだから別にいいのに。
どうせ私のことなんて、ろくに女として見てもいないに決まっている。
……いや、ここまで食い下がるということは、最低限のラインはクリアしているのかもしれないけれど。
そんなことを思いつつ、小さく息を吐く。
「ご飯食べるだけですよ。食べたらさっさと帰ってもらいます」
「……しかし」
「わかりました」
これでは埒が明かない。
そう悟った私は、東間さんに少し待っているように言って一度室内へと戻った。
それからひーくんぬいぐるみをベッドに置き、すぐさま台所へ向かう。
始めに手早く丼に白米を盛り、次に親子丼の具をかけ。
味噌汁と簡単なサラダも皿にわけてから、大きめのトレーにそれを全部置く。
そしてトレーを両手に持ったまま、玄関へと戻った。
「お待たせしました」
「なんのつもりだ」
「うちで食べるのが嫌なら、ご自宅でどうぞ。お部屋までなら持っていきます」
さすがにそこまでやると、東間さんは言葉につまったように口を閉じ、諦めたように溜息をついた。
「……わかった、頼む」
「頼まれました」