僕の(わたしの)生きる世界1[完]
「ステラ!!一体…。」

「妖精達が、力を貸してくれたの。大丈夫。杖が魔力をコントロールしてくれたの。だから、全然平気…。」

そう言って、ステラは掌ではなく、杖に聖属性を流し、杖を振ると辺り一体に魔気が充満する。

人々の顔に生気が戻る。

「わ…わたしは…。あ、あんたら!何してくれるんだ!」

「そうよ 何で死なせてくれなかったのよ!あなた、総帝様でしょ?聞いたことあるわよ!要請なしに退治して回ってるって。」

ジェイクもステラもショックを受けた。

助けたのに、死なせてくれと言う人々の姿が、どれだけ辛い強制労働をさせられていたのか。

「そ、そんなこと言わないでくれ!僕がここに来たのは、ヘンリー・ポッサムに頼まれたからです!」

「ヘンリー様?…。」

「はい。ヘンリーは、まだ領主ではないから、表だっては動けない。でもヘンリーは、いつだってポッサムの民を思っている。ヘンリーは、領主になって身分制を無くしたいと言っている。それは嘘じゃない。」

「しかし、私らはこれからどうしたら…。」

「一時的に、キーリに来てください」

ステラは、自然と口に出していた。

「住まうところができたら、その時にはポッサムに戻しますから。」

「あなたは?」

「ステラ・キーリと申します。」

「なんと…。」

人々は、暫し話し合う。

そこに、ジェイクが転移していったと思ったら、ヘンリーを連れてきた。

「皆の者。申し訳ない!」

ヘンリーが頭を下げていた。

ポッサム家の次期領主が、奴隷以下の人々に頭を下げる。

ポッサム領土では、絶対にあり得ないことだった。

「へ、ヘンリー様…。」

「私は、必ずあなた達を迎えにいきます。ステラ。キーリ家は大丈夫なのですか?」

「えぇ お父様も分かってくださるわ?」

「僕も、お願いするよ。ちょっとずるいけど、総帝の僕が居ればまた違うだろうから。」

「ありがとう!」

そして、10数人の人々と一緒にキーリ家へと転移した。


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