僕の(わたしの)生きる世界1[完]
ージェイクの部屋ー

少し時間が戻った、休校三日目の昼間。

ジェイクは、眠ったままだった。

顔色は、三日前の戦いの場で抱き上げた時より、良くなってきた。

いつ目が覚めても良いのに、未だに眠ったまま。

その時、今まであまり関わりが無かった、オフワン領主より、連絡が入った。

ジェイクについてだと言う為に、ポーロがオフワンの領主の家を訪問した。

「特殊部隊チームより参った、ポーロと申します。」

「ポーロ様!本当は、こちらから出向かねばならん所ですが、ご覧の有り様でして。」

領主は、かなりの高齢で杖をつき、歩くこともままならないようだった。

屋敷も、使用人が数名いる程度で、他の領土の領主の家と明らかに違っていた。

ポーロは、通された部屋で座ると領主は話し出した。

「この屋敷にも、賑やかな頃があったんです。私がまだ若い頃でした。」


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ーーー。

60年前のオフワン領土 領主家

ここには、二人の兄弟が居た。

兄のジェイ、弟のジョイ。

二人は双子で、何をするのも一緒だった。

二人は、魔法学園を卒業し家へと戻ってきた。

「ジェイ兄さん!彼女にプロポーズはするの?」

「ジョイ。あぁ、ジョイはしないのか?」

「兄さんが、するのを邪魔は出来ないさ。」

「関係ないさ。恨みっこ無しで、お前も頑張れよ?」

この時、二人には共通で愛してる人がいた。

二人の両親も、どちらに領主を継ごうかと悩んでいた為に、パートーナーを先に連れてきた方へ譲ると言う条件になった。

そして、それぞれがプロポーズをすると、彼女が選んだのは、弟のジョイの方だった。

そして、ジョイが領主を継いだ。

ジェイは、その後領主の家を出ると、そのまま行方が分からなくなった。

ジョイは、兄を探したが結局見つからず、妻は流行り病にかかり、治癒も間に合わず、結局命を落とした。

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「結局、ジェイはどこに行ったんか分からず、私も再度、新たな妻を迎え入れることもなく、ここまで来てしまった。」

領主であるジョイは、一枚の絵を取り出す。
ポーロは、驚いた。

「ジェイク?」

「そっくりだろう?私も、総帝様の正体を知ったときに、驚きましたとも。ジェイ兄さんが現れたのか、自分の若い頃の亡霊かと思いましたよ。ただ、その絵のモデルはジェイです。」

「領主よ。私と共に来てくれませんか?ジェイクに会って欲しい。」

そして、ポーロはジョイと共に転移した。

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