僕の(わたしの)生きる世界1[完]
転移してきた、ジョイはベッドで眠るジェイクを見て、確信した。

「やはり、総帝様はジェイの孫なんだろうな。しかし、この状態は?」

ポーロは、敵が現れた事とジェイクに何が起こったのかを話した。

ジョイは、ジェイクの手を握った。

「やはり血筋ですなぁ。オフワン家では、たまに突然変異の子供が産まれる事があったのです。やたら魔法の能力が高かったり。きっと彼の魔力値が高いのも、そのせいでしょう。」


ポーロは、ジェイクとの出会いから、全て伝えた。

沈黙が部屋を包んだ。

「そうであったか…。きっとジェイもその妻も、もうこの世には居ないのであろうな。そして、ジェイの子供もジェイクを残して、殺られてしまったのだな。」

ピクッ

ポーロは、見逃さなかった。

ジェイクの手が動いたのだった!

ポーロは、ジェイクに呼び掛けた。

すると、ジェイクの目がうっすらと開いたのであった。

「ジェ、ジェイク!?分かりますか!?」

「……ロ…ポーロ…。僕は…。」

「お前は三日間、目覚めなかったんですよ?」

「三日…敵は?」

「お前が殺ってからは、来ていない。」

ジェイクは、起き上がろうとする。

それをポーロは制するが、ジェイクは起き上がりたがった。

「父上…。皆を集めて?話がある。」

「とにかく、お前はまだ休め。それにお前に先ずは話がある。」

ポーロは、ジョイをジェイクに紹介し、つい先程聞いた内容を、ジェイクに伝えた。

ジェイクは、幼い日のオフワンでの生活の日々を思い出した。

母が言っていた。

「あなたのお爺ちゃんは、本当は貴族なのよ?素晴らしい方だったのよ?」

そっか…。僕が産まれた時には既に母側の祖父は、居なかった。

産まれた後に、祖母も亡くなり、結局僕は祖父母について、知らないまま両親も父側の祖父母も魔物に…。

母は村人で、父親も村人だった。

祖父は、オフワンの名を捨てて村人の祖母と結婚したんだ。

ジェイクは、ジョイを見て言った。

「話してくれてありがとうございます。そして、僕にはもう一人家族が出来て、とても嬉しい。」

ジョイの目には涙が流れた。

「年甲斐もなくすまない。ジェイク。オフワン家は、私とあなたしか居ないのです。このままでは、領主はオフワンの中の街のリーダーの誰かがなるであろう。知っての通り、オフワンは長年、領土の中で街毎に動いている。中には良からぬ考えの者もおる。私は、この通り爺さんだ。総帝様のお立場もあろうと思うが…。」

そこまで一気に話したジョイが、一旦言葉を切ると。



「オフワンに戻ってくれぬか?」



そう言って、ジェイクとポーロに頭を下げた。


ポーロは、タケルを呼んだ。

国王の儀がまだとは言え、既に実質タケルは動いていて、総帝のジェイクを抜けば、タケルがガーナレスのトップである。

それに、何よりジェイクとタケルは友人だ。





< 167 / 259 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop